不妊治療をいつまで続けるか決めていますか?
夫婦でいつまで続けるか話し合っていますか?
実際にいつまで続けるのか、その「卒業」の目安について考えてみたいと思います。
知りたいところからどうぞ
不妊治療をいつまで続けるか(卒業)の目安
不妊治療を続けるか卒業するかの目安はいくつかあります。
経済的な理由での卒業
体の負担を考えての卒業
心の状態を考えての卒業
特定不妊治療費助成制度の年齢制限に合わせての卒業
「卒業」を考える夫婦は、このような理由から決断しているようです。
経済的な理由での卒業
不妊治療には多額の費用が必要になります。
不妊治療の一般的な費用
【保険適用】
- 検査(ホルモン検査・精液検査・子宮卵管造影検査など) 1,000〜3,000円ほど
- タイミング法 3,000〜8,000円ほど
- 排卵誘発(注射) 1,000〜3,500円ほど
- 腹腔鏡下手術 140,000〜380,000円ほど
【自由診療】
- 人工授精 1~3万円ほど
- 体外受精 20万円~60万円ほど
- 顕微授精 25万円〜50万円ほど
タイミング法で授かることができれば、そこまで経済的に困ることはありませんが、それでも毎回「コツコツ」と検査代やく薬代などでお金が出ていきます。
また、時間的余裕がない場合にはすぐに顕微授精へ移行することになりますが(そのほうがおすすめです)、治療が高度になるにつれてその費用も大きくなって生活にも影響が出てくることがあります。
クリニックによりかかる費用に差が出てきますが、1年間で200万円の費用がかかったというカップルもいます。
赤ちゃんは授かりたいけど、どうしても治療を続けるお金が足りないと、不妊治療を卒業するカップルは少なくありません。
体の負担を考えての卒業
不妊治療は女性の体に大きな負担をかけます。
特に体外受精の場合、排卵誘発剤(注射)を使って採卵をスムーズにしたり、取れる卵子の数を増やしたりします。
この排卵誘発剤の副作用として、腹部のハリや排尿障害、下痢や嘔吐などの症状から、呼吸困難や血栓症のような重い症状まで起こるリスクがあります。
排卵誘発剤の作用が体に合わないと、胃の不快感や食欲不振、少量の出血、腰痛などの体調不良に見舞われる可能性もあるとされています。
また、採卵時にもケガや麻酔による体の負担があります。
これらの体の負担を考えて、不妊治療を卒業するカップルもいます。
心の状態を考えての卒業
「今回はうまくいくと思ったのに・・・」
「途中までうまきいってたのに・・・」
「これだけ頑張ってるのに・・・」
「私の何が悪いの・・・」
もしかしたら、心の負担は体の負担よりも大きいかもしれません。
心が疲れてしまって、不妊治療を卒業するカップルもいますが、それが悪いことなんて思わないでください。
特定不妊治療費助成制度の年齢制限に合わせての卒業
不妊治療には特定の条件のもとで助成金制度があります。
イラスト:加藤レディースクリニックより引用
こちらの表に当てはまる治療を受けた場合に助成金を受け取ることができます。
助成金の金額については厚生労働省が以下のように定めています。
(1) 特定不妊治療に要した費用に対して、1回の治療につき15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)まで助成する。
通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。
ただし、平成25年度以前から本事業による特定不妊治療の助成を受けている夫婦で、平成27年度までに通算5年間助成を受けている場合には助成しない。
(2) (1)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除く)
(3) 特定不妊治療のうち精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術を行った場合は、(1)及び(2)のほか、1回の治療につき15万円まで助成。(凍結杯移植(採卵を伴わないもの)は除く)
引用:厚生労働省より
助成の対象は、夫婦の所得の合計が730万円未満で、妻の年齢が43歳未満の夫婦で、指定医療機関で実施した「体外受精治療」又は「顕微授精治療」が対象となります。
このことから、「43歳まで頑張ろう」と決めているカップルも少なくありません。
自治体によって制度が違う?
自治体によって助成制度の条件が異なる場合があります(自治体が独自の基準で運営していることも)ので、制度を利用する際には自治体の窓口で不妊治療を始める前に確認しておくとよいでしょう。
夫婦で話し合いをして考えを共有することが大切
不妊治療には、そのときどきで様々な理由で決断することが求められます。
次のステップへ進む、卒業する、これらの決断には必ず夫婦で話し合いをするようにしましょう。
話しにくいこともしっかりと話し合うことで認識を共有する
不妊治療を続けるには、「続けたいのか、卒業するのか」お互いの意思を尊重していくことが必要です。
そこには、体の負担が理由のときもあれば、経済的な負担が原因の場合もあります。
大切なことは、話しにくいことでもしっかりと話し合うことです。
本当はどうしたいのか、どう思っているのか、相手に持っていることは何か、お互いに持っている認識を共有することが不妊治療を行ううえで一番大切なことです。
続けることも卒業することも「前向きな選択」としてとらえる
不妊治療は「続けたからえらい」ということはありません。
そして、授かれなかったとしても、その原因であなたたちの人生が否定されることはありません。
ましてや、あなたたちの結婚がダメになることなど絶対にありません。
妊娠できないことがわかったからパートナーに離婚を切り出した、という話を聞いたことがあります。
しかし、あなたたちが結婚したのは「子どもが欲しかったから」ですか?
それとも「あなたと一生一緒にいたい」と思ったからですか?
不妊治療を続けるにしても、卒業するにしても、どちらの選択をしてもお互いに前向きな選択をしたと思えるような関係性を築いておきましょう。
まとめ:不妊治療をいつまで続けるかはそれぞれだけど、その選択は前向きなものだととらえよう
私たちも経験していますが、不妊治療をいつまで続けるかの判断はなかなか難しいものがあります。
しかし、もし不妊治療を卒業するとしても、それはあなたと旦那さんがしっかりと話し合ったうえで前向きなものととらえることができたらいいのではないでしょうか。
不妊の要因の約50%は男性にあるともいわれています。
もし、まだ旦那さんが精子の状態を確認していなかったり、最後に検査してから時間が経っているようなら改めて今の精子の状態を確認してみてください。
今の精子の状態(精子の数、濃度、精液量、運動率など)に変化があった場合、治療内容を変える必要があります。
もし旦那さんがクリニックに時間がない場合には、自宅から郵送で精鋭検査ができるキットもありますのでお使いください。