男性用妊活(不妊対策)をするにあたっては、まずは精液検査をし、そして医療機関の適切な治療を行うことが一番の近道です。
そのうえで、自分でできることは必要な栄養素を摂ることです。
適切な治療 + 必要な栄養素
これが男性不妊解消の近道です。
そこで、精子の質と量・運動率の改善のために摂りたい栄養素について紹介します。
知りたいところからどうぞ
亜鉛(精子の形成・生殖機能の改善)
亜鉛は、男性の前立腺・精子に亜鉛は多く存在し、精子の形成には必ず必要とされ、生殖機能の改善に役立ちます。
逆に、亜鉛が不足すると思春期における性的発達の遅延、および男性のインポテンスの原因となります。
亜鉛には即効性がないのでじっくり継続することが大切
亜鉛を摂って、すぐに効果が実感できるかといえばそうではありません。
そもそも精子自体が作られるまでに70日間ほど時間がかかりますので、1日や2日で精子が増えるというようなことはありません。
ただ、これは亜鉛自体の効果がないということではありませんので、焦らずじっくり継続するようにしましょう。
亜鉛は吸収率が悪いのでビタミンCやクエン酸と一緒に摂ることが大切
亜鉛は吸収率が悪い栄養素の一つです。
効果的に亜鉛を吸収させるなら、朝食や昼食の食後30分から1時間くらいの間に摂ることをおすすめします。
逆に起床直後や空腹時には胃に負担をかけてしまいますので、気持ちが悪くなったり吐き気をおぼえたりしますので控えるとよいでしょう。
そして、亜鉛はビタミンCやクエン酸と一緒に摂ると吸収率が上がりますので、積極的に一緒に摂るようにしましょう。
精液に高濃度で含まれる「亜鉛」は、男性の妊活にもっとも有効と言われているほどの成分です。
具体的には、精子量の増加や運動率の向上、精子の質の向上など、男性の「妊娠力」を上げる有効な成分の一つとなっていますので、積極的に摂るようにしましょう。
亜鉛を多く含む食べ物
牡蠣、あわび、たらばがに、するめ、豚レバー、牛肉、卵、チーズ、高野豆腐、納豆、えんどう豆、切干大根、アーモンド、落花生
マカ(精子の質や量、運動率の改善・勃起障害の改善)
マカは、ペルー原産のアブラナ科の多年生植物で、豊富な栄養素から成り、男性の生殖機能を大幅に改善する働きをもつ成分です。
特に正常なホルモン代謝や精子形成の維持、精子の形や質の向上などに効果があると言われています。
マカのサプリはペルー産よりも国産のほうが効果的
マカのサプリメントは、原産国のペルー産がポピュラーですが、国産サプリの方が成分的にはマカの含有量が多い傾向にあります。
サプリメントの摂り方に特に決まりはありませんが、1日の摂取量を数回に分けて摂るようにした方が体への負担も少なくすみます。
空腹時にマカを摂ると胃もたれの原因にもなりかねませんので、食後に摂ることをおすすめします(粉末の場合は食事と一緒の摂取がいいでしょう)。
マカに含まれる成分
マカは必須栄養素を多く含み、アンデスで栽培される植物の中でも極めて優れた栄養値を示します。
乾燥マカ100gには、炭水化物59g、たんぱく質 10.2g、繊維8.5g、脂質2.2gが含まれていて、他にも大量の必須アミノ酸や、ジャガイモの倍以上の鉄分とカルシウムを含んでいます(1993年ナポリ大学発表資料による)。
その他リノール酸、パルミチン酸、オレイン酸といった脂肪酸、ビタミンB群、ミネラル、グルコシノレート等も含有しています。
分析項目 | |
---|---|
カルシウム | 586mg |
鉄 | 11.5mg |
タンパク質 | 11.3g |
亜鉛 | 7.93mg |
アミノ酸 | |
アラニン | 0.39g |
アルギニン | 0.61g |
アスパラギン酸 | 0.67g |
グルタミン酸 | 0.73g |
グリシン | 0.35g |
ヒスチジン | 0.19g |
イソロイシン | 0.28g |
ロイシン | 0.45g |
リジン | 0.31g |
メチオニン | 0.11g |
フェニルアラニン | 0.29g |
プロリン | 2.49g |
セリン | 0.33g |
トレオニン | 0.33g |
チロシン | 0.20g |
バリン | 0.39g |
コエンザイムQ10(精子の運動率の改善)
男性不妊の原因として多いのが精子に問題があるというケースで、その中でも精子の運動率が低下してしまう精子無力症があります。
全体の70~80%程度の精子が運動しているのが正常な状態なのに対して精子無力症の場合は運動している精子が全体の50%以下と低い水準になっています。
これでは女性の膣内に放出された精子が卵子までたどり着くことが難しくなり、不妊へつながると考えられています。
精子無力症を含む原因の特定が難しい造精機能障害の場合は対策が難しく、治療についてもやはり難しいのが現状です。
そこで注目されているのが、精子の運動率の改善が期待できるコエンザイムQ10です。
コエンザイムQ10には体内に吸収されにくい「酸化型」と、吸収されやすい「還元型」がありますので、同じコエンザイムQ10なら「還元型」を選ぶことをおすすめします。
詳しくは精子の運動率を高めるコエンザイムQ10はなぜ還元型がいいの?にまとめていますのでご覧ください。
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男性妊活におすすめの成分 精子の運動率を高めるコエンザイムQ10はなぜ還元型がいいのかその理由を解説します
妊活をするには、できるだけ健康で元気な精子であることが必要です。 コエンザイムQ10には、精子の運動 ...
コエンザイムQ10の研究結果では精子や精液の改善が確認された
イタリアのPolytechnic University of Marcheで行われた研究によると、1日200mgのコエンザイムQ10を6ヶ月間男性不妊で悩む患者に摂取してもらったところ、精子細胞内部や血中のコエンザイムQ10濃度が高まり、精子の運動率が改善されたとの研究結果が出されています。
この研究結果以外にも、コエンザイムQ10を3ヶ月~6ヶ月間継続して摂取したところ、精子・精液の改善を確認できたとする研究報告が多数あることから、男性不妊サプリにコエンザイムQ10が配合されるようになりました。
コエンザイムQ10を多く含む食べ物
イワシ、さば、豚肉、牛肉、イカ、ほうれん草、ブロッコリー、ピーナッツ、大豆、アボカド
カルニチン(精子の質の改善)
精液中のカルニチン含有量は精子数と精子の運動率に直接関係があることから、男性の不妊治療を行う上で、カルニチンは重要であると考えられています。
いくつかの研究によるでは、カルニチン補給(2~3 g/日3~4ヶ月間)を行うと精子の質が改善されることがあると示されました。
カルニチンの研究はこれから深まる可能性がある
厚生労働省の報告では、カルニチンと男性不妊症との関係についてはまだこれからの段階であるということがいわれています。
あるランダム化二重盲検クロスオーバー試験では、男性不妊症患者100例にカルニチン2 g/日を2カ月間摂取したところ、精子の濃度と精子の総運動率および前進運動率が増加した。
この報告されている研究の利点はミトコンドリアの脂肪酸酸化の増加(より多くのエネルギーを精子に供給)と睾丸中の細胞死の減少に関係があるかもしれない。
しかし、男性不妊症患者21例を対象とした最近のランダム化対照試験によると、カルニチン3 g/日を24週間摂取したところ、精子の運動率および総運動性精子数にプラセボ投与群と比べて有意な増加は認められなかった。
不妊治療としてのカルニチンの潜在的な価値を評価するためには、大規模かつ綿密にデザインされた研究が必要となる。
引用:厚生労働省「総合医療」情報発信サイトより
カルニチンを多く含む食べ物
赤身の肉、魚肉、鶏肉、牛乳、チェダーチーズ、全粒小麦粉のパン、アスパラガス
ソイポリア(ED改善・精子の形成や運動率の改善)
別名:ポリアミンは大豆から抽出された成分で、細胞の働きに関与するといわれていて、そもそも体内に持っている成分は加齢とともに減少していくといわれています。
もともとアミノ基という複数の物質を有する炭化水素のことで、精液から発見された成分として知られていて、積極的に摂取することで造精機能のアップや精子の形成や運動率の改善などが期待されます。
ED改善のためには1日100mg以上が必要
ソイポリアは大豆由来の成分ということもあり、副作用の心配はあまりないとされています。
また、加齢とともに体内に存在する量はどんどん減少していきますので、EDを改善したいのなら積極的に摂取すべき成分であると考えられます。
ソイポリア(ポリアミン)を多く含む食べ物
ED改善のためにソイポリア(ポリアミン)を100mg摂取するとしたら、かなりの量の食材を食べなければならなくなります。
カロリーも気になるため、摂取するならサプリメントがおすすめです。
シトルリン(男性機能のアップ・ED改善)
シトルリンはスイカから発見された非必須のアミノ酸で、特に野生のスイカに多く含まれる成分です。
シトルリンには血管拡張作用があることから、男性機能をアップさせる作用があるとされています。
また、シトルリンサプリメントを摂取した場合の効果としては、男性では精子の発育促進を挙げることができます。
妊娠には、運動率のいい元気な精子が作られることは必要不可欠な条件で、精子は一度の射精で数億個が放出され、そのうちの99%が女性の膣内で死滅してしまいます。
卵管膨大部までたどり着くのも並大抵のことではありませんので、元気な精子を作るために必要なシトルリンは積極的に摂りたい栄養素の一つです。
シトルリンがED改善にサプリに利用される理由
シトルリンを摂取すると、体内でアルギニンに変化して一酸化炭素(NO)を産生します。
その効果として血管拡張が起こり、ED改善に繋がるとされています。
シトルリンを多く含む食べ物
スイカ、メロン、冬瓜、キュウリ、にがうり、へちま
アルギニン(精子の量を増やす・運動率の改善)
アルギニンは天然に存在するアミノ酸のひとつで、体内でグルタミン酸から生成されますが、健康を維持するためには生成量は十分とはいえず不足分を補う必要があります。
成長ホルモンの分泌に大きく関係することが知られていますが、その他にも様々な作用があり、不妊治療を受ける男性や女性にも効果が期待できることが発表されています。
エビやかつお節、大豆類等にふくまれている成分です。
アルギニンは精子数を増やし、精子を活動的にするために必要な成分で精子の成熟に必要な成長ホルモンを分泌・促進させて精子数を増やし、精子の運動性に重要な働きをするポリアミンを生成することで精子の活動性を高め、男性不妊症を改善する効果が期待できます。
アルギニンはED改善効果も期待できる
勃起は一酸化窒素(NO)が生成され、血管が拡張し陰茎(海綿体)に入る血液量が増加して起こります。
EDは、老化・糖尿病・高血圧・高脂血症・肥満・喫煙・ストレスなどの要因により、勃起をコントロールする神経系・血管系・内分泌系(男性ホルモン低下など)に異常が起こることで一酸化窒素生成量が減少し、血管が拡張しにくくなることで発病すると考えられています。
アルギニンは血管での一酸化窒素生成を回復させるので、血管が拡張し、EDの改善に効果が期待できます。
アルギニンを多く含む食べ物
豚肉、鶏肉、牛肉、牛乳、大豆、油揚げ、高野豆腐、納豆、玄米、味噌、エビ、カニ、貝類、カツオ、マグロ、ごま、チョコレート、きゅうり、落花生、レーズン
ビタミンE(活性酸素から精子を守る)
ビタミンEは抗酸化作用を持つ代表的なビタミンで、活性酸素の害を抑えて、過酸化脂質の生成を抑制する作用があります。
精子は活性酸素に弱いため、ビタミンEのような抗酸化力がある成分を摂取すると良いでしょう。
また、ビタミンEには男性ホルモンの分泌を活性化する働きもあるので、積極的に摂りたい栄養素の一つです。
そして、精子の量を増やす・精子の運動率を上げる効果もあるとされています。
ビタミンEを多く含む食べ物
ナッツ類、植物油、うなぎ、たらこ、西洋カボチャ、アボカド
葉酸(精子の染色体異常の軽減)
アメリカ、カリフォルニア大学バークレー校パブリックヘルスのブレンダ・エスケナジ ( Brenda Eskenazi ) 氏らの研究チームの発表によると、男性の場合の葉酸サプリの摂取は、 自身の精子に影響があり染色体異常を軽減することがわかりました(男性の場合、精子が生まれる過程に影響します)。
健康的な男性の精子においても1~4%ほどの染色体異数性(染色体異常)、いわゆる奇形の精子が存在すると言われています。
研究チームは染色体異常がある精子の数と、葉酸の摂取量の関係性について調査を行い、今までは女性の食生活が赤ちゃんの成長へ影響があるという研究結果は多くありましたが、研究結果としては葉酸摂取量が多い方が、精子の染色体異常が少なくなるという事が分かりました。
男性の食生活(葉酸摂取量)が赤ちゃんに影響を与えるという研究としては世界的に見ても初めてのものとなり、染色体異常が少ない健全な精子が多いという事はそれだけ受精の確立が高まることにもつながります。
データに関してはまだ研究段階と言う事で明確な数値が発表されているわけではありませんが、葉酸摂取は男性にとっても効果的である可能性が高いと言えます。
葉酸を多く含む食べ物
枝豆、ほうれん草、アスパラガス、サニーレタス、春菊、イチゴ、アボカド、ライチ、ホタテ、鶏レバー、豚レバー、牛レバー、エリンギ、マイタケ、日本茶、卵、焼きのり
セレン(活性酸素から精子を守る)
セレンは人体にとって必須ミネラルの一つで、ビタミンEと同様に抗酸化作用を持つ栄養素の一つです。
ビタミンEと一緒に摂ると効果的だということもわかっていて、活発な精子にはセレンが多く含まれているといわれています。
セレンを多く含む食べ物
魚介類(かつお節・アンコウの肝・たらこ・まぐろ・かれい・カニ・ウニなど)、肉類(レバー)、卵、小麦粉などの穀類、ひまわりの種
などに多く含まれていますが、体内での吸収率が50%以上と悪くないので、急激に不足することはありませんが、妊活中の男性は積極的に摂ることをおすすめします。