男性不妊を改善するといわれている漢方は本当に効果があるのでしょうか?
実際の効果とおすすめの漢方薬、購入の仕方などを紹介します。
男性不妊に対する漢方薬の効果
漢方と漢方薬の違い
漢方と漢方薬は違うって知ってますか?
漢方
養生、気功、整体、薬膳、鍼灸などを含んだ広い意味で使われる総称(漢方薬も含む)。
このように、漢方薬は自然の恵みを生かして自然治癒力を高めることを目指している中で生まれたものをいいます。
男性不妊への効果
例えば、排卵が行われていない方に対して、西洋医学では排卵誘発剤を用いて治療を行いますが、漢方などの東洋医学では排卵を妨げている原因に対してアプローチしていきます。
漢方の不妊治療に対するアプローチは、気、血、水の巡りを良くすることを目指します。
「気」は西洋医学的に言うと自律神経のことを指し、「血」は栄養素を運ぶ役割があるため巡りが悪くなると、さまざまな疾患を引き起こすとされています。
同じく「水」も身体の中で巡りが悪くなると、代謝や免疫機能に影響を及ぼすと考えられています。
このように、漢方は「気、血、水」の巡りを良くすることで、男性不妊にも効果があるとされています。
精子の運動率を上げるって本当?
男性不妊の原因の一つに精子の運動率の悪さがあります。
精子の運動率が悪いと、子宮にたどり着く精子の数も少なく、妊娠する可能性もグッと低くなります。
漢方は、自然治癒力を上げることで体の中の巡りを良くし、精子の運動率を上げる効果もあるといわれています。
漢方薬にメリットはあるの?副作用はないの?
漢方は薬と違い、身体に不調が表れるのは体内でバランスが崩れているからであると捉え、早急に治療を進めるというよりは、ゆっくりと効き目が現れるのを待つのが特徴です。
そのため体に優しいというイメージがありますが、もちろん気になる副作用にも注意しなければいけません。
過剰摂取による副作用に注意
漢方薬は身体に優しいというイメージが強いですが、体質や服用した量によっては食品アレルギーのように副作用が出ることがあります。
漢方薬での不妊治療は身体に負担が少ないことがメリットですが、副作用のリスクがゼロではないことを覚えておきましょう。
そして、漢方薬を利用する際に注意しなければいけないのが、同じ成分を過剰摂取してしまうことです。
基本的に、漢方薬は幾つもの成分を混ぜて作られているため、効能の良さに惹かれて一度に複数の漢方薬を服用すると、過剰摂取になることがありますので注意しましょう。
自己判断で薬を飲まない
漢方薬は何種類かの生薬を特定の比率で組み合わせて作られていますので、Aという漢方薬とBという漢方薬を混ぜたら、全く別の薬になってしまいます。
そのため、むやみに複数の薬を飲むと副作用が出やすくなったり、思わぬ作用が現れるおそれもあります。
自己判断で、複数の薬を飲むのは絶対にやめましょう。
人にあげたりもらったりしない
同じ病気、同じような症状があっても、体質や体の状態には個人差がありますので、その人によって適した漢方薬は違います。
例え、ある人によく効いたとしても、ほかの人にも効くとは限りません。
ですから、自分に処方された薬を人にあげたり、ほかの人の薬をもらったりしないでください。
漢方薬の買い方
漢方薬は、薬局やインターネット通販で購入することができます。
保険適用になる・ならないの違いもありますので、あなたの好みに応じて選んでみてください。
薬局で買う方法
漢方薬を購入するには一定の知識が必要ですので、薬局で購入することをおすすめします。
その中でも特にはじめての方は、漢方の知識に優れている漢方薬局で購入するとよいでしょう。
漢方薬局
漢方薬局とは、受診した病院の医師が書いた処方せんに基づき、漢方薬を調合する薬局で、通常業務に加え漢方相談や健康相談を受け付けている漢方薬局もあります。
勤務している薬剤師も漢方の知識に豊かな人材が多く、漢方薬を購入するなら通常の薬局やドラッグストアよりも漢方薬局を選ぶとよいでしょう。
困ったら相談もできる
漢方薬局の薬剤師や登録販売者は漢方の知識を豊富に持っていますので、漢方薬について相談することもできます。
どんな症状か?
体調や体質はどうか?
どう改善させたいか?
どんな成分がいいのか?
これらの状態を相談することで、処方箋が不要な漢方薬ならその場で購入することも可能です。
処方箋があれば保険適用になる
医療機関を受診し、その疾病を治療する目的で発行された処方箋があれば、漢方薬も保険適用で購入することが可能です。
ただし、予防目的や美容目的などでの漢方薬の購入は保険適用外ですので覚えておきましょう。
市販、インターネット経由で漢方を買う方法
漢方薬の一部はインターネット通販などで購入することも可能です。
以下は、男性不妊でよく利用される「八味地黄丸(はちみじおうがん)」で、Amazonなどのインターネット通販で購入することが可能です。
また、薬局やドラッグストアなどでも市販の漢方薬を購入することができます。
薬局で購入する場合は、薬剤師に相談することができますが、インターネット通販で購入する場合は自己判断での購入となりますので、少しでも不安がある場合には必ず薬剤師に相談するようにしましょう。
株式会社日本ヘルスケアアドバイザーズという会社が運営している「私の漢方薬」というオンラインショップも人気ですので、興味がある方はご覧ください。
漢方薬の価格について
漢方薬は、市販のもので2,000円~4,000円のものが多く、有名なところでいうと「ツムラ」や「クラシエ」などが販売しています。
漢方薬局で販売されている漢方薬の価格は、保険適用のもので初診料と薬代を合わせて2週間分で3,000円前後、保険適用外のもので2週間分で7,000円前後、自由診療での購入となると2週間分で15,000円前後になるイメージを持っているとよいでしょう。
男性不妊におすすめの漢方薬
六味地黄丸 ろくみじおうがん
分類 | 主な症状 |
腎陰虚(じんいんきょ) 精子を作り出す腎が虚弱で潤す力が弱っている状態 |
めまい、耳鳴り、下半身に力が入らない、不眠、手足がほてる、口が乾く、尿が黄色い |
八味地黄丸 はちみじおうがん
分類 | 主な症状 |
腎陽虚(じんようきょ) 精子を作り出す腎が虚弱で温める力が弱っている状態 |
めまい、耳鳴り、下肢が特に冷える、頻尿、腰や膝に力が入らない |
補中益気湯 ほちゅうえっきとう
分類 | 主な症状 |
脾虚(ひじんようきょ) 精子を作り出す腎とエネルギーを作り出す消化器系が弱っている状態 |
食が細い、軟便がち、倦怠無力、寝汗、息切れ |
加味逍遙散 かみしょうようさん
分類 | 主な症状 |
肝鬱気滞(かんうつきたい) 主にストレス過多でエネルギーや血液の流れが停滞している状態 |
みぞおちのつかえ、ため息、下腹部が張る、イライラ |
茵蔯蒿湯 いんちんこうとう
分類 | 主な症状 |
湿熱(しつねつ) 体の水分代謝に問題があり、余剰な熱が体を侵している状態 |
だるさ、むくみ、陰嚢湿疹、排尿痛、嗜眠(常に眠い) |
まとめ:漢方薬の効果は男性不妊に期待できるがまだ未知数なところもある
漢方薬が不妊治療に効果がある可能性があることはわかりましたが、実際にこれらの漢方薬の効果を研究した京都大学のレポートでは、数々の臨床試験の結果、効果を示すものもあればそうでないものもあると結論づけています。
これらのことからも、漢方薬の男性不妊に対する効果については、まだ未知数なところがあると覚えておきましょう。
参照:京都大学「男性不妊症患者に対する八味地黄丸の臨床効果について」より(PDF)
参照:京都大学「乏精子症に対する補中益気湯の臨床的効果について」より(PDF)